CAT7,CAT8は買うな【2024最新】おすすめLANケーブルと注意点

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はじめに

先日、知人からネットワーク速度が遅いと相談を受けました。

知人 A
知人 A

我が家 (マンション) のネットワーク速度が遅くって、数Mbps 程度しか出ないんだよね…

光回線なのに、プロバイダのプランの最大 1 Gbps に全然届かない。

ルーターも Wi-Fi6 で、LAN ケーブルも CAT.7 使ってるんだけどなぁ…

KUDs
KUDs

どこかでボトルネックになってそうですね。

というか、 CAT.7 使ってるんですか?

知人 A
知人 A

うん。最大伝送速度が速いらしくて。

KUDs
KUDs

確かに規格としては速いんですが、そこだけ見て決めるのは危険ですね…

知人 A
知人 A

そうなんです。

「罠じゃん」と自分でもよく思うんですが、CAT.7 や CAT.8 を使う際には色々と注意が必要です。

というか、家庭内での利用を想定するなら、ほとんどの人は CAT.7, CAT.8 は使わない方がいいです。

敢えて強い言葉を使いましょう。

CAT.7、CAT.8 の LAN ケーブルは買うな 」です。

なぜ LAN ケーブル選びが重要なのか

ネットワークを構築するときにどのような点に注意すればいいか。
それは、ボトルネックを作らないことです。

例えば、非常に伝送速度が速いネットワーク経路に、一つだけ遅い経路を挟むとそこで律速されちゃいます。

極太ホースで水をドバドバ流してるときに、途中にストローを一本挟むだけで、水の流れはすっごく遅くなりますよね。
大体そんなイメージです。
水を効率よく流したいなら、流れる水の量にたいして十分な太さのホースを用意してあげることが重要です。
ネットワークも大体同じです。

なので、LAN ケーブルはもちろん重要です。
そして、その間に挟まる機器も重要です。

今回の記事では、以下のような点をお話しできればと思います。

  • CAT.5、CAT.5e、CAT.6、CAT.6a、CAT.7、CAT.8 の違いとは?
  • CAT.7, CAT.8 が家庭内での利用に向かないのはなぜ?
  • 家庭内での利用に最適な LAN ケーブルカテゴリ CAT. はどれ?
  • おすすめの LAN ケーブルは具体的にどれ?

おすすめの LAN ケーブルだけ知りたいという方はガンガン読み飛ばしちゃってください。

CAT. ケーブルの基本知識

LAN ケーブルのカテゴリ (CAT.) には、 CAT.5e、CAT.6、CAT.6a、CAT.7、CAT.8 等の種類があります。
もちろん、それぞれに異なる特性・用途があります。
この章では、これらのカテゴリの基本的な違いについておさらいします。

CAT.5、CAT.5e、CAT.6、CAT.6a、CAT.7、CAT.8 の違い

各カテゴリのケーブルには、伝送速度、帯域幅、最大ケーブル長、シールドの有無など、さまざまな違いがあります。

以下に、 CAT.5、CAT.5e、CAT.6、CAT.6a、CAT.7、CAT.8 の違いを比較表にしてみました。

カテゴリ最大伝送速度最大帯域幅最大ケーブル長シールドコネクタ
CAT.5100 Mbps100 MHz100 mUTPRJ45
CAT.5e1 Gbps100 MHz100 mUTPRJ45
CAT.61 Gbps250 MHz55 m (10G)
100 m (1G)
UTPRJ45
CAT.6a10 Gbps500 MHz100 mUTP/ STPRJ45
CAT.710 Gbps600 MHz100 mSTPGG34,
TERA
CAT.825-40 Gbps2000 MHz30 mSTPRJ45
CAT.5、CAT.5e、CAT.6、CAT.6a、CAT.7、CAT.8 の違い

細かい所を話し出すとキリがないので、この後の話に関連する要素だけピックアップしてかなりざっくりと解説します。

シールドの違い: UTP と STP

UTP (Unshielded Twisted Pair)

  • 特徴: シールドなしのツイストペアケーブル。電磁干渉 (EMI) に対する防御はないが、軽量で柔軟。設置が簡単でコストが低い。
  • メリット: 取り扱いやすく、コストが低いため、一般的な家庭用ネットワークに最適。
  • デメリット: 強い電磁干渉がある環境では、信号が乱れる可能性がある。

STP (Shielded Twisted Pair)

  • 特徴: 各ツイストペアがシールドされており、外部からの電磁干渉を防ぐ設計。シールドは通常、金属メッシュやフォイルで構成される。
  • メリット: 電磁干渉の多い環境での信号品質が高く、ノイズの影響を受けにくい。
  • デメリット: コストが高く、取り扱いや設置が難しい。適切な接地が必要で、接地が不適切だと逆に性能が低下する可能性がある。

コネクタの違い: RJ45 と GG45, TERA

RJ45 コネクタ

  • 特徴: 8 ピンのモジュラープラグで、8 本の銅線を接続。広範なデバイスやネットワーク機器に対応。
  • メリット: 多くのネットワークデバイス (ルーター、スイッチ、PCなど) で広く使用可能。低コストで製造され、設置が簡単。
  • デメリット: 高速通信には適しているが、超高速通信 (40Gbps 以上) には限界がある。

GG45 コネクタ

  • 特徴: RJ45 と似た形状だが、追加の 4 ピンを持ち、計 12 ピンの接続が可能。RJ45との後方互換性あり。
  • メリット: 高周波数での信号伝送が可能で、600 MHz (CAT.7) および 1000 MHz (CAT.7a) まで対応。優れたシールド性能を持ち、高速かつ安定したデータ通信が可能。
  • デメリット: 高価。特殊なデバイスが必要。RJ45 に比べて設置が複雑。

TERAコネクタ

  • 特徴: 8 ピンの非モジュラーコネクタで、4 対の銅線を独立して接続。RJ45 とは互換性がない。
  • メリット: 10 Gbps から 40 Gbps の高速通信に対応し、2000 MHz までの周波数で動作。高度なシールド性能を持ち、高信頼性のネットワーク接続を提供。
  • デメリット: RJ45 とは互換性がなく、専用デバイスが必要。高価であり、設置が難しい。

家庭用に CAT.7, CAT.8 が向かない理由

上述の通り、CAT.7 や CAT.8 ケーブルは高性能なネットワークケーブルです。
数値上、理論上は。
但し、家庭用として実際に利用するとなると、必ずしも最適ではありません。
この章では、その理由をいくつかの観点から詳しく説明します。

理由1: ボトルネックにならない可能性が高い

そもそもなのですが、LAN ケーブル以外の伝送速度が低ければ、ケーブルだけ速度を高めようとしても意味がありません。
ホースで水が流れているとき、途中に土管を経由しても流量が変化しないのと大体同じです。
LAN ケーブルがボトルネックでないならば、 CAT.7, CAT.8 を検討する必要はありません。

そのため、最低限以下は確認しておきたいですね。

  • デバイスの最大伝送速度: 家庭用デバイス (ルーター、パソコン、スマートフォン等) は対応する最大伝送速度が 1Gbps 以下のものが多いです。お手持ちの機器の規格が 10 Gbps 等に対応しているか確認してみてください。
  • プロバイダのプランの最大伝送速度: プロバイダが提供するプランの最大伝送速度は 1 Gbps のものが多いです。最近は 10 G プランなるものも普及してきているので、一度ご自身のプランの内容を最初に確認しておいた方がいいでしょう。「インターネット無料の賃貸なんだけど」という方は大家さんに確認しましょう。

ちなみに伝送速度の目安についてですが、8K のビデオストリーミングやアップロードに要する伝送速度が 100~300 Mbps 程度です。
8K のビデオを複数同時にストリーミング再生したりするレベルの人は 1Gbps 以上必要になるかもしれませんね。
もちろん最大伝送速度と実行速度は違うので注意してください。

理由2: 値段がお高い

シンプルに値段がお高めになります。

  • CAT.7: 各ペアがシールドされているため、製造コストが高く、販売価格も高い。コネクタ GG45, TERA が必要であり、これらのコネクタも高価。
  • CAT.8: 超高速であり、さらに高いシールド性能が求められるため、価格はさらに上昇する。これらのケーブルはデータセンター向けに設計されており、一般家庭での使用にはオーバースペック。

理由3: 設置が難しい

  • シールドケーブル: CAT.7 や CAT.8 ケーブルは、物理的に太く、硬く、取り回しが難しいです。家庭内の配線作業としては面倒です。
  • 適切な接地(アース) : シールドケーブルは、外部からの電磁干渉を防ぐために設計されていますが、これを効果的にするためには、適切な接地が必要です。家庭用ルーターやスイッチは、シールドケーブルの接地をサポートしていない場合が多いため、適切に接続するのが難しくなります 。興味がある方は、「等電位ボンディング」や「両端接地」とかで検索してみてください。本記事では本筋と関係ないため割愛します。
  • コネクタの互換性: CAT.7 のコネクタは、一般的な家庭用デバイスで使用される RJ45 コネクタと一部互換性がありません。専用のコネクタやデバイスが必要となり、追加のコストと設置の手間が発生します。ちなみに市販の LAN ケーブルで RJ45 コネクタのものも存在しますが、これらはメーカーの独自規格なのでご注意ください。

理由4: シールドする必要がない

  • 家庭用環境でのシールド不要性: 家庭用ネットワーク環境では、通常、強い電磁干渉が発生することは少ないため、シールドケーブルの利点があまり活かされません。「蛍光灯の近くにケーブルを這わせる必要がある」等の特殊な事情がない限り、シールドの有無に依る影響はほぼないです。データセンターや工業施設、医療施設等の強力な電磁波を発生させるような環境でもない限り、シールドは不要と言って良いかと思います。

おすすめの LAN ケーブル

さて、ここまで「 CAT.7, CAT.8 は買うな 」という内容を説明交えてお伝えしてきました。

この章では、「じゃあどのケーブルがいいのか」を実際に紹介します。

結論、CAT.6a か、CAT.6 で良いです。

高速な通信を実現したい方: CAT.6a を買いましょう

1 Gbps 以上のネットワーク機器及びプロバイダのプランを利用している場合は、CAT.6a ケーブルが最適です。

以下、おすすめのケーブルです。

エレコム | LD-GPASS/BU3

特徴:

  • カラーはブルーのみ
  • 長さは 0.15 ~ 50 m まで
  • フラットタイプ、スーパーフラットタイプが取り回しやすい
  • UTP 仕様 (シールド無し)

配線の取り回しやすさと長さの充実度を求めている方におすすめ


エレコム | LD-GFAT/WH30

特徴:

  • カラーはホワイトのみ
  • 長さは 1 ~ 10 m まで
  • フラットタイプ、スイング式スリムが取り回しやすい
  • UTP 仕様 (シールド無し)

ホワイトが良い方やスイング式スリムが刺さる人におすすめ


バッファロー BUFFALO | BSLS6ANU30BK

特徴:

  • カラーはブラック、ブルーがある
  • 長さは 0.5 ~ 10 m まで
  • 太くて硬そう → 取り回しやすさの観点では微妙そう
  • ちょっと情報量少ないなーと思い Amazon レビューを見てみた
    • → レビューが「UTP だからいい商品だ」とか「これ UTP じゃないよ」とかあった
    • → 気になって仕様見に行ってみた
    • → 結果、めちゃくちゃシールド構造だった

特におすすめはしませんが、「やっぱ Shielded よね」という方はどうぞ。


別に高速じゃなくていい方: CAT.6 を買いましょう

1 Gbps 以上のネットワーク機器及びプロバイダのプランを利用してない場合は、CAT.6 ケーブルで十分です。

以下、おすすめのケーブルです。

サンワサプライ | LA-Y6-03BK

特徴:

  • カラーはブラック、ホワイト、イエロー、グリーン、ブルー、レッドがある
  • 長さは 0.5 ~ 15 m まで
  • 太くて硬そう → 取り回しやすさの観点では微妙そう

ネットワーク機器毎に色分けして管理したい人におすすめ


サンワサプライ | LA-FL6-03W

特徴:

  • カラーはブラック、ホワイト、ブルーがある
  • 長さは 0.5 ~ 15 m まで
  • フラットタイプなので、壁に這わせたり何かの下を通したり等の取り回しが楽

ケーブルカラーにもこだわりつつ美しく(?)配線したい人におすすめ


Amazon ベーシック | HL-001761

特徴:

  • カラーはブラックのみ
  • 長さは 0.9 ~ 7.6 m まで
  • 5, 10, 24 本のセット販売がある
  • 太くて硬そう → 取り回しやすさの観点では微妙そう

まとめてたくさん買いたい人におすすめ


配線にちょっぴり役立つもの紹介

ケーブル買っていざ配線すると、ごちゃごちゃして部屋汚くなることが多いです (KUDs は)

そういうときに役立つものを紹介します。

スリーエム (3M) ケーブルクリップ CMG-S-CL20

テーブルの脚や裏でLAN ケーブル這わせたい人におすすめ


鬼ピタ 魔法のテープ はがせる!超強力両面テープ

フラットな LAN ケーブルを壁や天井にくっつけたい人におすすめ


ネセクト 両面テープ貼付済 配線カバーセット

本格的に部屋がケーブルまみれになっている人におすすめ


さいごに

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

LAN ケーブルの紹介で途中、UTP じゃない LAN ケーブルも紛れていましたね。
実は規格に準拠していなかったり、商品紹介ページの記載と異なる仕様だったりすることもあります。
そのため、とりあえずレビューを見てみることをおすすめします。
そして、レビューの内容も一貫性ないなって思ったら仕様書を見ることをおすすめします。

ざっくり本記事の内容を 3 行にまとめます。

  • LAN ケーブルには様々なカテゴリ CAT. が存在する
  • CAT.7, CAT.8 は速い。けど家庭用には向かない
  • 家庭用なら CAT.6, CAT.6a で良い

次はおすすめのルータでも紹介しようかと思ってます。

Wi-Fi の規格とか、暗号化のお話を添えつつね。

以上です。

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