【2024最新】家庭用におすすめのルーター: Wi-Fi 6 か 7 どっち?

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はじめに

こんにちは、KUDs です。

前回の記事では、LAN ケーブルの選び方について説明しました。

CAT7,CAT8は買うな【2024最新】おすすめLANケーブルと注意点

上記の記事で、LAN ケーブルの様々なカテゴリ CAT. が存在する中でどれを選べばいいのか、どれは選んだらいけないのかを説明しました。

今回の記事では、ルーターについてお話ししたいと思っています。

なぜ Wi-Fi ルーター選びが重要なのか

ネットワークを構築するときにどのような点に注意すればいいか。
それは、前回の LAN ケーブルの記事でもお伝えしましたが、ボトルネックを作らないことです。

例えば、非常に伝送速度が速いネットワーク経路に、一つだけ遅い経路を挟むとそこで律速されちゃいます。

極太ホースで水をドバドバ流してるときに、途中にストローを一本挟むだけで、水の流れはすっごく遅くなりますよね。
大体そんなイメージです。
水を効率よく流したいなら、流れる水の量にたいして十分な太さのホースを用意してあげることが重要です。
ネットワークも大体同じです。

なので、LAN ケーブルやルーターはもちろん重要です。
そして、その間に挟まる機器も重要です。

今回の記事では、以下のような点をお話しできればと思います。

  • Wi-Fi 4, 5, 6, 6E, 7 の違いは?
  • おすすめの規格はどれ?
  • おすすめのルーターはどれ?

Wi-Fi 規格の基本知識

Wi-Fi 規格には、Wi-Fi 1 ~ 7 まで世代があり、それぞれ異なる特徴があります。
この章では、各Wi-Fi規格の違い、セキュリティの観点からの比較、そして機能面での比較を行います。

ちなみに Wi-Fi 規格は Wi-Fi Alliance という業界団体によって管理されています。
この団体は、 IEEE ※ の標準に基づいて製品の互換性と性能を保証するための認証を提供してます。
なので、技術的な標準としては IEEE があり、それに基づいて消費者向けに世代化されたものが Wi-Fi 規格なんだなぁぐらいにイメージしてください。
※ IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers

Wi-Fi 4、5、6、6E、7の違い

各 Wi-Fi 規格の特徴を表にまとめました。

規格最大
速度
周波数帯最大
帯域幅
セキュリティ特徴
Wi-Fi 4
(802.11n)
600 Mbps2.4GHz
5GHz
40 MHzWPA2ビームフォーミング
Wi-Fi 5
(802.11ac)
3.5 Gbps5GHz160 MHzWPA2MU-MIMO
Wi-Fi 6
(802.11ax)
9.6 Gbps2.4GHz
5GHz
160 MHzWPA3OFDMA
Wi-Fi 6E
(802.11ax)
9.6 Gbps6GHz160 MHzWPA36GHz 帯域対応
Wi-Fi 7
(802.11be)
46 Gbps2.4GHz
5GHz
6GHz
320 MHzWPA34096-QAM
16×16 MU-MIMO
MLO
Wi-Fi 規格ごとの性能比較

世代が上がるにつれて、速度だけでなく帯域幅やセキュリティ、その他機能が充実していくことがわかります。

セキュリティの観点から見る各規格の違い

速度について語る前に、まずはセキュリティの観点で認識しておくべきです。

先ほどの表で WPA2, WPA3 と記載がありました。
Wi-Fi のセキュリティプロトコルは、WPA2 から WPA3 に進化することで大幅に強化されています。
逆に、WPA2 は脆弱です。

WPA2, WPA3 の特徴を以下にざっくりとまとめますが、多分基本情報技術者とか応用情報技術者レベルのお話しになると思うので、不要な方は読み飛ばしてください。
Wi-Fi 5 以前の世代はなんか脆弱らしい」ぐらいに思っといてください。

WPA2 と WPA3 の違い

項目WPA2WPA3
暗号化技術AES (Advanced Encryption Standard)AES-256 (AES の中で最強)
認証方式Pre-Shared Key (PSK)
エンタープライズモード (802.1X)
Simultaneous Authentication of Equals (SAE)
エンタープライズモード (802.1X)
脆弱性KRACK (Key Reinstallation AttaCK) に脆弱KRACK 攻撃に対する耐性
辞書攻撃に対する強化
前方秘匿性 (Forward Security)あり
ネットワークの簡単設定Wi-Fi Protected Setup (WPS)Wi-Fi Easy Connect
暗号化方式CCMP (Counter Mode with Cipher Block Chaining Message Authentication Code Protocol)GCMP-256 (Galois/Counter Mode Protocol)
Protected Management Frames (PMF)オプション必須 (ネットワークの安全性向上)
その他機能WPA3-Personal
WPA3-Enterprise
WPA3-Enhanced Open
WPA2 と WPA3 の比較表

補足したい部分は多々ありますが、結論今からルーター買うなら絶対 WPA3 にした方がいいです。

強めの表現します。

WPA 2 は買うな」です。

機能の観点から見る各規格の違い

Wi-Fi 6 や Wi-Fi 7 は、旧規格に比べて多くの新機能を搭載しています。
これらの機能は、ネットワークのパフォーマンスを向上させ、複数のデバイスが同時に接続されても効率的に動作するように設計されています。
この章では、各機能の概要を説明します。

Wi-Fi 4 で登場した機能

ビームフォーミング:
  • 概要:
    • ビームフォーミングは、特定のデバイスに対して信号を集中させる技術です。これによって、信号範囲と接続の安定性が向上します。
    • ビームフォーミングは、AP がデバイスの位置を特定し、その方向に向けて信号を送信します。これによって、信号強度が向上し、干渉が減少します​​。
  • 利点:
    • 接続の安定性: ビームフォーミングにより、接続が安定し、デバイス間の通信品質が向上します。
    • カバレッジの向上: 特定のデバイスに信号を集中させることで、広い範囲での安定した接続が可能になります。

Wi-Fi 5 で登場した機能

MU-MIMO (Multi-User Multiple Input Multiple Output):
  • 概要:
    • MU-MIMOは、複数のデバイスが同時にデータを受信できる技術です。これによって、ネットワークのスループットが向上し、複数のデバイスが同時に高速度の通信を行えます。
    • MU-MIMOは、複数の空間ストリームを使用してデータを同時に複数のデバイスに送信します。
  • 利点:
    • 同時通信の向上: 複数のデバイスが同時にデータを送受信できるため、ネットワークの効率が向上します。
    • 高スループット: MU-MIMOにより、ネットワークの総合的なスループットが向上し、多数のデバイスが同時に高速度の通信を行えます。

Wi-Fi 6 で登場した機能

OFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access):
  • 概要:
    • OFDMAは、チャネルを複数のサブキャリアに分割し、それぞれを異なるデバイスに割り当てる技術です。これによって、ネットワークの利用効率が大幅に向上します。
    • チャネルを小さなサブキャリアに分割し、各サブキャリアを異なるデバイスに割り当てます。これによって、複数のデバイスが同時に異なるデータレートで通信できます​​​​。
    • 各サブキャリアは、リソースユニット(RU)と呼ばれる小さなブロックに分割されます。AP は、各デバイスのデータ需要に応じて RU を割り当てます。
    • クライアントデバイスは、AP からのトリガーフレームを受信し、タイミング、周波数、およびパワーレベルを調整して同時にデータを送信します。
  • 利点:
    • 効率的な帯域幅利用: OFDMAは、ネットワークの帯域幅を効率的に利用し、遅延を低減します。
    • 高密度環境での性能向上: 多数のデバイスが同時に接続される環境でも、スループットが向上します。

Wi-Fi 7 で登場した機能

4096-QAM (Quadrature Amplitude Modulation):
  • 概要:
    • 4096-QAM は、Wi-Fi 7 で導入される高度な変調技術で、データの転送効率を大幅に向上させます。
    • 4096-QAM は、一つのシンボルで最大12ビットのデータを伝送できます。これによって、より多くのデータが同時に送信可能になります​​。
  • 利点:
    • 高スループット: より高いデータレートを実現し、ネットワークのスループットを向上させます。
    • 効率的なデータ転送: データ転送の効率が向上し、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上します。
マルチリンク操作 (Multi-Link Operation, MLO):
  • 概要:
    • MLOは、Wi-Fi 7で導入される技術で、複数の周波数帯を同時に利用してデータを送受信することができます。
    • MLO は、2.4GHz、5GHz、および6GHzの帯域を同時に使用し、複数のリンクを統合してデータを転送します​​。
  • 利点:
    • 低遅延: 複数のリンクを使用することで、データ転送の遅延が大幅に減少します。
    • 高スループット: 各リンクでデータを並行して転送するため、全体のスループットが向上します。

どんどん進化していることがわかります。

内容がよくわからんという方へ。

最近の世代は複数デバイス利用時の効率化や大容量通信に対応してきているんだなぁ」ぐらいに思っといてください。

Wi-Fi 4、5、6E、7 が家庭用ルーターに向かない理由

結論、家庭用のルーターを買う場合には、現状は Wi-Fi 6 で良いと判断してます。

この章では、Wi-Fi 6 以外が家庭用に向かない理由を説明します。

Wi-Fi 4, 5 が家庭用ルーターに向いていない理由

これらはもはや家庭用とか以前に買うべきではないです。

Wi-Fi 4 と Wi-Fi 5 のセキュリティの問題:

  • WPA 2の脆弱性: Wi-Fi 4とWi-Fi 5は、WPA2 を使用しています。前述の通り、WPA2 は KRACK 等の脆弱性が存在します​​。
  • PSK モードの脆弱性: WPA2 の PSK モードは、パスフレーズを共有するため、パスフレーズが漏洩した場合、ネットワーク全体が危険にさらされます。また、パスフレーズが簡単な場合、ブルートフォース攻撃に対して脆弱です​​。

Wi-Fi 4 の速度と帯域幅の問題

  • 速度と帯域幅: 最大 600 Mbps の速度と 40 MHz のチャネル幅に制限されているため、現代の高速インターネット接続に対応するには不十分です​​。

Wi-Fi 5 の周波数帯の問題

  • 単一の周波数帯: 5 GHz 帯域のみをサポートし、2.4 GHz 帯域との互換性がないため、電波が届きにくい場所や障害物の多い環境では、接続が不安定になることがあります​​。また、 2.4 GHz のみ対応の機器を使用している場合は使えなくなります。

Wi-Fi 6E, 7 が家庭用ルーターに向いていない理由

デバイスの対応状況とコストの問題

  • Wi-Fi 6E:
    • 対応デバイスの不足: Wi-Fi 6E は、新しい 6GHz 帯域を使用します。この帯域は、干渉が少なく高速通信が可能ですが、対応デバイスがまだ少ないのが現状です。例えば、M2 MacBook Air は未対応です。M3 MacBook Pro 以降でようやく対応してます。
  • Wi-Fi 7:
    • 対応デバイスの不足: こちらも同様、Wi-Fi 7に対応するデバイスは市場にほとんど存在しておらず、互換性のあるデバイスを揃えることが難しいです。例えば、現時点最新の M3 MacBook Air ですら未対応です。
    • 法的な整備: Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)は、2023 年 12 月に総務省が電波法施行規則を改正し、日本国内での利用が合法化されました。この改正によって、6 GHz 帯の 320 MHz 幅通信が可能となり、Wi-Fi 7 の利用が正式に認められましたが、機器によっては MLO の恩恵を最大限享受できない場合があります。
    • コスト: Wi-Fi 7 対応のルーターは非常にお高いのです。
    • 過剰な速度: Wi-Fi 7 は、最大 46 Gbps の速度に対応しますが、そもそもそんな速度必要でしょうか。LAN ケーブルの規格は?インターネットのユースケースは?そもそもプロバイダ契約プランは?一度、必要な速度を見直してみることをお勧めします。前回の記事も参考になるかと思います。↓
CAT7,CAT8は買うな【2024最新】おすすめLANケーブルと注意点

Wi-Fi 6 が家庭用ルーターに向いている理由

ほぼ消去法みたいな論調になっていますが、家庭用ルーターには Wi-Fi 6 が最適と判断しています。

ここでは、Wi-Fi 6が家庭用に最適な理由を説明します。

  • 最大伝送速度
    • 最大 9.6 Gbps の速度は、ストリーミング、高解像度ビデオの再生、オンラインゲームなど、帯域幅を必要とするアプリケーションにも対応可能です。
  • 周波数帯:
    • 2.4 GHz 帯域は壁や障害物を通り抜けやすく、広い範囲をカバーします。一方、5GHz 帯域は高速通信を提供し、混雑が少ないため安定した接続を維持できます​​​​。
  • コストパフォーマンス:
    • Wi-Fi 6 は Wi-Fi 7 に比べてお安いです。
  • セキュリティ:
    • Wi-Fi 6は、WPA3 セキュリティプロトコルをサポートしております。
  • 多数のデバイス同時接続の効率化(OFDMAとMU-MIMO)
    • Wi-Fi 6は、多数のデバイスが同時に接続されても効率的に通信できるように設計されています。これによって、家庭内で複数のデバイスを使用してもネットワークパフォーマンスが安定します。

おすすめの Wi-Fi ルーター

ここでは、具体的にどのようなルーターがおすすめか紹介します。

TP-Link | AX1800 Archer AX23V

おすすめの人:

  • コストパフォーマンスを重視する人: 手頃な価格でWi-Fi 6の恩恵を受けられます。
  • メッシュWi-Fiを構築したい人: EasyMesh対応で、家全体をシームレスにカバーできます
  • スマホでルーターの設定したい人: スマホで簡単に設定できる Tether に対応してます。

TP-Link | Archer AX3000/A

おすすめの人:

  • 高速インターネットを求める家庭: 最大3.0Gbpsの速度を提供し、高速ブラウジングやストリーミングが可能です。
  • セキュリティを重視する人: TP-Link HomeShield の高度なセキュリティ機能が利用できます
  • メッシュWi-Fiを構築したい人: EasyMesh対応で、家全体をシームレスにカバーできます
  • スマホでルーターの設定したい人: スマホで簡単に設定できる Tether に対応してます。

アイ・オー・データ | AX3600 WN-DAX3600QR

おすすめの人:

  • 多デバイス接続を求める家庭: 2.5Gbps対応で、高速通信が可能です。
  • セキュリティを重視する家庭: ネットフィルタリング機能やペアレンタルコントロールが充実しています

TP-Link | BE9300 Archer BE550/A

おすすめの人:

  • Wi-Fi 7 使いたい人: 一応 Wi-Fi 7 対応製品も載せておきます。既に対応機器をお持ちの方や、購入予定のある方におすすめです。機器が対応しているなら、言うまでもなく超高速です。

さいごに

購入時には、まずレビューを確認しましょう。
レビューの内容に一貫性がないなと思ったらメーカーの公式ページで仕様書を確認しましょう。

また、購入の前に、以下だけは改めて確認しておきましょう。

  • ユースケース的に何 Mbps 必要なのか
  • ご自宅のプロバイダでご契約のプランは何 Mbps 出るのか
  • ご自宅の LAN ケーブルやネットワーク機器は何 Mbps 出るのか

これらをクリアにしていない状況で、単にルーターだけ早くしても無意味です。

以上です。

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